日々の生活の中で、ずっと地味に困っていたことがある。
インターホンが鳴っても気付けない。
Amazon の宅配便の受け取りも、ご近所さんのご挨拶も、まったく対応できていなかった。
原因ははっきりしている。私の生活の場は 2 階で、1 階にあるインターホンの音がまったく聞こえないのだ。
いろいろ考えてはいた
もちろん、何もしていなかったわけではない。自分なりにいろいろ考えてはいた。
ただ、決定打と言える方法にはたどり着けず、机の上で計画を練るだけの状態が続いていた。
最初の挑戦は FlashAir
一番最初に試したのは、東芝の FlashAir(無線 LAN 機能付き SD カード)を使う方法だった。
うちのインターホンは、来訪時の写真を SD カードに保存できる。そこで SD カードを FlashAir にして、「写真が保存された」というイベントを Wi-Fi 経由で管理用のホストに記録しよう、という作戦だ。
実際にやってみたものの、これがうまくいかなかった。思っていた以上に早く SD カードへの給電が切られてしまい、Wi-Fi で通知を送り切る前に FlashAir が落ちてしまうのだ。書き込みが終われば用済み、という機器側の省電力設計を考えれば当然といえば当然なのだけど…。
ちなみに FlashAir はすでに生産を終了していて、東芝メモリ改めキオクシアのもとで関連ソフトウェアの配信やサポートも終わっている。今から同じことをやろうとしても、そもそもカードを手に入れるのが難しい。
Claude に相談したら一発だった
そんな中、ふと先日 Claude にこの状況を相談してみた。すると、一発で「それだ!」という回答が返ってきた。
インターホンの親機には、他の機器をつなぐための外部出力(接点出力)が用意されていることがあり、それを使えば IoT デバイスに信号を送れる、というのだ。
言われてみれば、インターホンは火災報知器や増設チャイムなど、ほかの設備と連携させる前提の機器でもある。呼び出しがあったときに信号を外に出す端子があっても不思議ではない。機種によって端子の有無や仕様は違うので、自宅の機種の取扱説明書・施工説明書で確認するのが第一歩になる。
これが本当なら、こんなに確実な方法はない。
FlashAir のときのように「写真の保存」という間接的なイベントを拾うのではなく、呼び出しの信号そのものを取り出せばいい。しかも IoT デバイス側の電源は外から供給するので、FlashAir で苦しめられた電源問題もそもそも関係ない。
作ってみたら、あっさり動いた
で、実際に作ってみると、拍子抜けするほどあっさり。トラブルもなく、期待どおりに動いてくれた。
信号の流れはこんな感じ。

まぁ、なかなかの長旅ではある。
それでも、Home Assistant まで信号が届いてしまえば、あとは Home Assistant のコンパニオンアプリ経由で iPhone に通知を送るだけ。iPhone に届いた通知は Apple Watch にも表示されるので、インターホンが鳴れば手元の Apple Watch がブルッと震える、という仕組みが完成した。
2 階で作業していても、腕に通知が来るので気付けないということがない。
使ってみて思うこと
- 音に頼らないのが良い。 2 階どころか、ヘッドホンをしていても、多少離れた場所にいても気付ける。
- 信号を直接拾うので確実。 写真の保存やカメラ映像の解析のような「間接的な判定」ではないので、誤検知や取りこぼしの心配が少ない。
- Home Assistant に入ってしまえば応用が効く。 通知だけでなく、照明を点滅させる、スマートスピーカーで知らせる、来訪履歴を記録する…と、あとから好きなように広げられる。
注意点としては、インターホン側の端子の仕様(接点出力なのか電圧出力なのか、定格はいくつか)を必ず説明書で確認すること。機種によっては外部出力そのものがなかったり、設定で有効にする必要があったりもする。また、機器の分解や配線の工事が必要な場合は、無理をせず自己責任の範囲で。
おわりに
長いこと机上の計画で止まっていた悩みが、AI に一度相談しただけで片付いてしまった。
「インターホンに外部出力がある」という発想は、自分ひとりでは出てこなかった。知っている人には当たり前の知識なのかもしれないけれど、その「当たり前」をすっと出してくれるのが AI のありがたいところ。
さすが AI、そんな手があったなんて。
これでもう、宅配便もご近所さんも取りこぼさない…はず。